妊娠・出産・育児

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第25回 妊娠⑦ 妊娠高血圧症候群

はじめに 今回は妊娠高血圧症候群についてお話ししていきます。「高血圧」と聞くと、肥満の人や中高年の人の病気と思うかもしれませんが、実は妊娠によって「高血圧」となってしまうことがあります。そして、この高血圧の状態は、母体だけでなくお腹にいる赤ちゃんにも影響があることも。今回は、どういう状態を妊娠高血圧症候群と呼ぶか、治療についてお話ししていきたいと思います。 昔は妊娠中毒症と呼ばれていた 「妊娠高血圧症候群」というと、妊婦さんのお母さん世代はピンとこないかもしれません。その代わり、「妊娠中毒症」というと、「ああ〜」と返答するのではないかと思います。妊娠中毒症の頃は、「浮腫」が診断基準の一つであり…

第24回 妊娠⑥ 妊婦健診-7 NST

はじめに 久しぶりの更新となりました。前回の更新からまさか、新型コロナウイルス感染症がこんなにも拡大するとは予想もできませんでした。新型コロナウイルス感染症の感染予防策により、両親学級に参加できない、里帰り出産ができない、ご家族のサポートが得られないなど、妊娠や出産、育児をする皆さんが不安に感じているのではないでしょうか。そんな不安が1mmでも軽減するよう、情報の提供をしていきたいと思います。今回は、NST という検査の目的や方法について説明していきます。 NSTってなに? NSTはそもそも何の略かと言いますと、「ノンストレステスト(non-stress test)」の略。通常の健診では臨月、…

第23回 妊娠⑥ 妊婦健診-6 GBS

はじめに  「GBS(培養)検査」をご存知でしょうか。「GBS」とは「B群溶血性連鎖球菌」のことです。どうしてこの検査を妊娠中に行うのか、この検査で陽性になった場合、分娩にどのような影響があるのかなどをお話ししたいと思います。 GBS検査の目的  GBS検査は妊娠35週から37週までの間に1回は行われる検査です。なぜ行われるかと言いますと、母体のGBS保菌の有無を確認するためです。GBSは直腸から会陰(えいん)を経て膣内に移行するため、検査の際は膣入口部ならびに肛門部から採取します。 GBS(B群溶血性連鎖球菌)とは  GBSは妊産婦の約2~5%は咽頭に、約10~30%は下部消化管や泌尿生殖器…

第22回 産後⑤ 直接授乳(直母)−2 抱き方について

はじめに  前回は、「吸着」の方法について説明しました。今回はおっぱいをあげる時の赤ちゃんの抱っこの仕方について説明します。何故これを説明するかと言いますと、乳頭損傷がありそれで「乳頭保護器」を使う方がいらっしゃるのですが、実はサイズ合っていない乳頭保護器を使うことで、乳頭(特に乳頚部)が切れてしまうことがあります。また保護器を浅吸いすることによる「乳頭への刺激不足」や「乳頭混乱」のリスクもあり、乳頭が短く咥えにくいというような理由がなければ、私は使う人は限られてくると考えています。  傷を予防するために吸着と乳頭の外し方は大変重要なのですが、もし傷が出来ても傷を避けるような飲ませ方で幾分か軽…

第21回 産後⑤直接授乳(直母)の方法−1 吸着

はじめに  「フクロウの助産師」Twitterアカウントを作っています。そこで皆さんどんなことで悩んでいるのかなと眺めさせていただいていますが、授乳のトラブルがチョコチョコ聞かれるので、今回は直接授乳(breastfeeding,直母)について2回ほどに分けて説明していこうと思います。 BFHで働いて気づいたこと そもそもBFHって何? BFH(赤ちゃんに優しい病院)をご存知でしょうか。WHOは「母乳育児成功のための10カ条」を提唱しています。 母乳育児成功のための10カ条(10ステップ)   1a.母乳代替品のマーケティングに関する国際規準(WHOコード)と世界保健総会の決議を遵守…

第20回 出産② 会陰マッサージ

はじめに  「会陰(えいん)マッサージ」について病院や助産院の助産師さんから説明を受けて、実施している方、実施した方もいるでしょう。「会陰(えいん)」とは、狭義的には外陰部と肛門の間を指します、膣と肛門の間の皮膚部分ですね。今回は会陰マッサージの目的と方法、効果についてお話します。 会陰マッサージの目的  会陰マッサージの目的は、ずばり 会陰損傷の予防です。  経膣分娩時を経験する多くの女性に会陰裂傷、会陰切開などの会陰損傷が生じています。正期産の赤ちゃんの頭の周りの大きさ(直径)がだいたい32〜33cmです。それを聞いただけでゾッとされるかもしれません。  助産師は赤ちゃんがゆっくり降りてく…

第19回 産後④ 産後クライシス

はじめに  前回は「マタニティブルーズ」や産後うつ病についての記事でした。子育ての女性を支えるのは夫や家族なのですが、今回は産後に起こる夫婦の「危機」についてです。私の周りには育児をしている友人もいますし、SNSでは子育てママアカウントも数多く存在していることを確認しております(笑)友人や、ママアカウントの愚痴は、 「夫が子どもを風呂に入れただけでドヤって顔をする。」「子どもが増えた。(夫のことを指す)」 と皆様、夫への不満を時に皮肉を込めて表現されています。いつもはママやこれからママになる人たちを対象にしている記事ですが、今回は「パパ」たちにも読んでいただいたい話でもあります。 もし、子育て…

第18回 産後③ マタニティブルーズ

はじめに 入院中、ママさんが授乳しながら泣いていたことがあります。「わからないんです、わからないんですけど、涙がでて。」もしかしたら同じ経験をした方がいませんか?妊娠・出産は身体だけに影響を与えるのではありません。みなさんの「心(こころ)」にも影響を与えます。実は「心」の問題はみなさんが思った以上に深刻になることも。ですから、今日は「心」についてお話ししようと思います。 マタニティブルーズって 「マタニティブルーズ」を皆さんは知っていますか?マタニティブルーズとは、出産後に一過性に生じる軽度の精神的変調です。先ほどのように理由もなく涙がでる、ささいなことで泣いたり、イライラして怒ったかと思えば…

第17回 妊娠⑥ 妊婦健診-5

はじめに  血液検査編、やっと終わった(涙)そして今回は超音波(エコー)検査のお話をします。超音波検査については、前にもお話した通り、海外と比べると日本のように毎回エコー検査をしている国は稀です。医師だけでなく、検査技師や助産師が超音波検査をしている病院やクリニックもあるのではないのでしょうか。エコー検査で医師は毎回何を見ているのか、今日はそんなお話をしていきます。 超音波検査の種類  超音波検査はX線検査やCT検査と異なり、胎児の放射線被曝の心配がなく安心して検査することができます。産婦人科外来で行われる超音波検査は2種類、「経膣超音波検査」と「経腹超音波検査」があります。 経膣超音波(エコ…

第16回 妊娠⑥ 妊婦健診ー4

 前回は、血糖値の検査と糖代謝異常(妊娠糖尿病)のお話をしていきました。日本の自治体公費負担の血液検査では正常経過であれば、妊娠初期の血液検査、妊娠中期の後半(妊娠24週以降)で行われる、血液検査、分娩前に3回は血液検査があります。3回のうち、妊娠初期には感染症の検査、初期・中期には血糖値の検査を行いますが、3回とも行う検査に「血算検査」があります。 「血算検査」とは、血液中の赤血球、白血球・血小板の数や大きさを測ったり、ヘモグロビン濃度やヘマトクリット値を測定します。この血算検査については病院・産婦人科クリニックは計測機械を持っているので、すぐに結果がわかります。 なぜ3回も検査を行うのでし…

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