もくじ
はじめに
妊娠・出産・育児を語るにあたり、女性の体について理解する必要があります。
正しい知識があれば妊娠に繋がりやすく、また異常にも気付きやすくなります。また誤った妊娠の知識により望まない妊娠をされた方もいました。これから出てくるホルモンという物質の中には妊娠中にも継続して出るホルモンもあります。まずは、基本を押さえて次のステップ、妊娠に進んでいきたいと思います。
女性の生殖器

一般的な生物学的な女性の身体の特徴として、卵子が眠っている卵巣、その卵子(受精卵)が子宮まで輸送される道・卵管、受精卵・胎児が発育する子宮、胎児が母体から体外へ出る通り道の膣があります。
女性の子宮の大きさは妊娠していないときは、全長が約7cm、重さ60~70gと鶏卵サイズくらいです。赤ちゃんの元である卵子は、願えば出るとかいつも排出されているわけではなく、通常は月経周期に沿って1周期に1回、排出さます。排出された卵子の寿命は24時間以内と言われています。
月経周期
子宮の内部には本来は受精卵を育てるベッドのような役割がある子宮内膜という部分があります。その部分は周期的に厚さを変化させ、受精が成立しない(妊娠が成立しない)場合は、排卵後だいたい14日程度で剥離します。これが月経、いわゆる生理というものです。
この月経の周期(サイクル)は、脳の一部にある視床下部と下垂体、卵巣からでるホルモンによって調整が行われます。
私たちの月経周期はホルモンによって調整されています。何らかの原因でこのホルモンがうまく働かないと、月経が起きなかったり、不妊の原因となることがあります。ですから、このホルモンの作用はとても重要となります。
基本的に、月経周期の1日目は月経が始まった日から数えます。
①卵胞期
月経が始まると、視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)というホルモンの指令によって、下垂体前葉から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されます。このFSHは、卵巣を刺激し、卵巣の中にある「卵胞」という卵子の元が成熟しながら、エストロゲンという女性ホルモンを分泌させていきます。

このエストロゲンは、子宮内膜を増殖・肥厚させていきます、受精卵が育つために必要なベッドを作っていると思ってください。そのほかにもエストロゲンは全身に作用し、血中のコレステロールを下げたり、骨量を維持したり、皮脂腺の分泌抑制やコラーゲンの合成促進作用がありますから、ニキビを防いだり、お肌をツヤツヤにしてくれます。

②排卵
卵胞の成熟により、エストロゲンが一定量まで増加すると、その増加を察知した視床下部は下垂体前葉に黄体化ホルモンを出すように指令を出して、下垂体前葉より黄体化ホルモン(LH)が急激に分泌されます。それにより卵胞内の成熟が完了し、卵胞の中の卵子が卵胞外に排出されます。これが排卵です。
③黄体期
排卵が起こると、残った一部の卵胞はLHによって「黄体」というものに変化します。この黄体からは、エストロゲンだけではなくプロゲステロンというホルモンも分泌されます。このプロゲステロンは、子宮内膜を受精卵が着床しやすいようにします。受精卵が寝やすいようにフカフカの布団を敷いてくれるんですね。
このホルモンは、乳腺を発育させる効果がありますので、この時期になると胸が張ってしまう、なんて女性もいます。また、体温を上昇させる効果があります。ですから、基礎体温を測定している女性の基礎体温が2相に分かれているとき、高温相になるのは、このホルモンの作用なのです。それ以外にも、子宮の入り口から分泌される粘液を変化させて精子の進入を防いだり、細菌の進入も防ぎます。
しかし、エストロゲンとプロゲステロンを分泌している黄体は妊娠が成立しなれば、14日程度が寿命といわれています。黄体の寿命が来ると、エストロゲンとプロゲステロンの分泌は急激に低下します。この2つのホルモンの低下により、子宮内膜が剥がれ、体外に排出される、これが月経の始まりです。
女性の身体の中ではこの①〜③のサイクルが、妊娠するまで回っています。
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