
はじめに
前回は妊娠の成立とホルモンのお話をしました。ちょっと勉強チックで面倒さかったらごめんなさい。私の頭の中を整理しながら書いています。妊娠がどうやって成立するかは前回のお話でわかっていただけたでしょうか。そもそも妊娠とは受精からではなく、受精卵が着床ところからが開始です。中には受精しても受精卵が着床せず、月経で子宮内膜と共に体外に排出されることもあります。しかし、そんなことが身体で起こっているなんて知らずにみなさん生活しているんじゃないでしょうか。私たちはどうやって妊娠に気づくのでしょうか。今日は妊娠初期症状と注意してほしい点についてお話していきたいと思います。
妊娠初期症状
①月経がとまる
妊娠が不成立の場合は、排卵から約2週間で黄体の退縮によりエストロゲンとプロゲステロンが低下し、月経(生理)が始まります。しかし、妊娠すると、エストロゲンとプロゲステロンが出続けて、子宮内膜を維持していますから、月経は起こりません。
しかし、黄体期はだいたい2週間なのですが、卵胞が育つ時期〜排卵日はズレることがあります。また、ストレス等で月経周期が乱れることも。妊娠している=月経が来ないは成立しますが、月経が来ない=妊娠している、ということではないので勘違いをしないでください。
また、経産婦さんで時々いらっしゃるのは、妊娠出産後に月経が再開しないまま次のお子さんを妊娠した、というパータンです。これはどうしてか?と言いますと、母乳を与えていることです。母乳を与えている間は、「プロラクチン」というホルモンが排卵を止める働きをしますので、母乳栄養(母乳のみもしくはミルクと混合)で育児をされている女性は、人工栄養(ミルクのみ)で育児されている女性より月経の再開が遅くなる傾向があります。個人差はありますが、母乳栄養の女性は産後3〜4ヶ月、人工栄養の女性の女性は産後2ヶ月です。個人差がありますよ(強調)母乳をあげている間は月経が再開しなかったという女性は珍しくないのです。月経周期を思い出してください、月経が起こる前に排卵があります。ということは排卵のタイミングでSEXをして受精すれば、月経が再開する前に妊娠するということはあり得る話です。中には授乳しているから月経も再開しないんだと思い、つわりもほとんどなく気づけばお腹の中で何か動く、、、「あ、胎動だ。」で気づいた方も。経産婦さん、気をつけてくださーい。
②基礎体温の高温相が2週間以上続く
基礎体温をつけている方は、基礎体温が低下すると月経が始まるサインとなりますが、基礎体温が高い状態、高温相が2週間以上続くことで妊娠に気づくことができます。これは、プロゲステロンの低下が起こらないためです。突然ぽっと測っても、人によって高温相、低温相は違いますし、風邪などで発熱すると当然基礎体温も上昇しますから、持続して測定しないとこれはわかりません。
基礎体温は通常の脇に挟むような体温計では測定できません。薬局や通販サイトで販売されています。普通の体温計よりは少し高いです。基礎体温計は小数点第2位、1/100単位まで測ることができます。毎朝、布団から出る前に舌の付け根に体温計をあて、口で体温計を咥えて測定します。私も実施していますが、たまに忘れます。そして起きる時間がバラバラなので、綺麗な2相(低温相・高温相)にはなりません。この基礎体温測定を行うことで、妊娠以外にも身体が妊娠しやすい状態か、ということも知るキッカケになることも。月経不順があったり、妊娠を意識したら基礎体温を測定し、記録することをお勧めします。最近はアプリでも管理ができます。しかし、基礎体温にしてもお薬手帳にしても何故かアプリでの管理を嫌がる先生がチラホラ(私の経験談)、、、遠視なんでしょう。
③妊娠検査薬が陽性となる
これは前回お話しました。黄体を刺激し続けるホルモンhCGが尿に排出されることで、妊娠がわかります。産婦人科にある妊娠検査キットは精度が高いので月経予定日くらいでも測定できます(だから高いです)が、市販のものは月経予定日から1週間経っても月経が遅れているなら使ってみるとよいでしょう。
ただし、妊娠検査が陽性だからといってそのままにしないでください!
なぜなら、それが正常な妊娠であるかは、調べてみたり経過をみないとわかりません。
その一つに「異所性妊娠(子宮外妊娠)」があります。本来は子宮体部の子宮内膜に着床するはずの受精卵が卵管や卵巣、腹膜や子宮の入り口(子宮頸部)で着床してしまった状態です。異所性妊娠のほとんどは卵管で起こります。卵管は本来は精子、卵子、受精卵の通り道ですから、着床に適した場ではありません。流産することもあれば成長し卵管が破裂することもあります。卵管が破裂すると、多量の出血と急激な下腹部痛が起こります。それでショックを起こす人もいます。妊娠5週くらいで、受精卵は胎嚢という袋の状態でエコー検査で確認されます。その袋がちゃんと子宮体部内にあるか、産婦人科で検査してもらいましょう。
そのほかには「胞状奇胎」というものです。これは受精卵の異常です。妊娠初期の不正出血や妊娠悪阻(つわり)症状がでます。これは、簡単に判別ができません。血液中のhCGが正常妊娠より高くなります。この胞状奇胎は癌化することがありますから、手術が必要となります。
あとは「自然流産」です。これは珍しくありません。お腹の受精卵(胎児)が亡くなってしまうことです。妊娠を診断された約15%に起こると言われています。妊娠12週未満(妊娠4ヶ月未満)の流産の原因は、受精卵(胎児)の染色体異常です。母体にはほとんど自覚症状はないが、子宮内で赤ちゃんが亡くなって胎内で止まっている状態は稽留(けいりゅう)流産と言います。この場合、自然に出てくるのを待ったり、亡くなっている赤ちゃんを出す手術をすることがあります。
しかし、流産はしていないけれど、流産発生の危険がある状態を「切迫流産」というものもあります。この場合は少量の性器出血、軽い腹痛、下腹部が張った感じや腰痛として症状が現れることがあります。
妊娠がわかったら、産婦人科できちんと確認してもらい経過を見ていきましょう!
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