もくじ
はじめに
血液検査編、やっと終わった(涙)
そして今回は超音波(エコー)検査のお話をします。超音波検査については、前にもお話した通り、海外と比べると日本のように毎回エコー検査をしている国は稀です。医師だけでなく、検査技師や助産師が超音波検査をしている病院やクリニックもあるのではないのでしょうか。
エコー検査で医師は毎回何を見ているのか、今日はそんなお話をしていきます。

超音波検査の種類
超音波検査はX線検査やCT検査と異なり、胎児の放射線被曝の心配がなく安心して検査することができます。
産婦人科外来で行われる超音波検査は2種類、「経膣超音波検査」と「経腹超音波検査」があります。
経膣超音波(エコー)検査

経膣超音波検査は、内診台に上がり、膣口からプローブをあてて子宮内をみる検査です。妊娠初期の赤ちゃんは小さく、子宮もまだ小さく奥の方にあるので、経膣超音波の方が見やすいのです。
妊娠初期は、
赤ちゃんが入っている袋がみえるか、赤ちゃんが子宮の中にいるか、赤ちゃんの心拍が見えるか、双子ではないか、卵巣や子宮に異常がないか、などの確認がされます。
また、左の図にあるCRLという文字は、赤ちゃんの頭からお尻までの長さを計測し、赤ちゃんが妊娠何週くらいなのか、分娩予定日の確定の際に用いられます。
膣に近い部分の詳細な画像が得られるので、妊娠初期以降でも子宮の入り口部分が短くなっていないか、胎盤が子宮口にかかっていないか、などの観察で使われることがあります。
経腹超音波(エコー)検査

経腹超音波検査は、主に妊娠中期(妊娠5ヶ月)以降に行われます。赤ちゃんが大きくなると、経膣超音波検査だけでは全体が見えませんから経腹超音波検査で見ます。
経腹超音波検査では、赤ちゃんの成長を見るだけではなく、赤ちゃんの身体の臓器に異常はないか、羊水の量が多すぎないか、少なすぎないか、胎盤の位置などを観察します。ただ、毎回赤ちゃんのエコーで頭の先から爪の先、臓器までみるには時間がかかるので、毎回の妊婦健診では「赤ちゃんの成長」を主に見ています。
赤ちゃんの成長をみる
赤ちゃんが成長、発育しているかの評価は赤ちゃんの「推定体重」から見ていきます。
私たちは体重計に乗れば体重がわかりますが、お腹の中にいる赤ちゃんを出して体重計に乗せるわけにもいきません。だからといって、妊婦さんの体重の変化だけを見ても、妊婦さんは赤ちゃん以外にも羊水、胎盤、前回説明した血液の量、そして脂肪もついてくるので、正確ではありません。ですから、超音波検査で赤ちゃんの身体の部分の大きさを測定して、推定体重を出します。
(計算式があるんですが、エコーの機械が勝手に算出してくれます。)
BPD(児頭大横径)

これは、赤ちゃんの頭蓋骨の外側から対側の内側までの距離、、、と参考書には書かれていますが、
簡単にいうと、頭の横幅です。
妊娠12週(4ヶ月)から計測ができます。
APTD(腹部前後径)・TTD(腹部横径)

APTD・TTDは赤ちゃんのお腹の前後の長さと横幅です。
この方法以外に、赤ちゃんのお腹の周りの大きさを測る腹囲(AC)で計測されることもあります。
FL(大腿骨長)

FLは赤ちゃんの太腿(太もも)の骨の長さ。エコーでは、赤ちゃんの内臓は透けて見えますから、骨も見えます。
これらの計測から推定体重を割り出します。もし、エコー用紙をもらったならば、EFBWもしくはEFWと書いてあるかもしれません。それが推定体重です。
毎回検査して赤ちゃんが成長しているか、体重が少ない傾向にないか、大きい傾向にないか観察していきます。ただ、あくまでもこれは推定。
いざ産まれてみたら推定より大きかった、小さかったはあります。ですから、毎回見ていくことで、大きいが常だったのか、ただの計測違いだったのか、参考にもなりますね。
赤ちゃんの性別は?
赤ちゃんの性別は妊娠5ヶ月ごろからわかる場合もありますが、見えにくいのでそこで確定!とは言えないでしょう。また、妊娠22週(妊娠6ヶ月)を超えないと教えてくれない医師もいます。それは望まない性別だったとき、生まない選択をされる方がいるからです。
前に紹介した「母乳を捨てるフランス人へその緒に無関心なアメリカ人」の中でもそんな話が載っていました。中国では性別を教えてくれないんだとか。また、他の国ではエコー回数がそもそも少ないので性別を聞き忘れないようにみなさん必死なようです。
なお、助産師の友人は性別を聞くつもりはなかったけど、「エコー見てたらもう写っているのわかった。」ということでした。
もし異常が見つかったら
エコー検査は赤ちゃんの異常の早期発見のために行いますから、当然異常が見つかることもあります。赤ちゃんの体重が小さすぎてクリニックでは対応できない場合は、NICUがある総合病院に転院したり、もし心臓に異常があるならば新生児の心臓の管理・手術ができる病院へ紹介され、そちらで妊婦健診を受けることもあります。赤ちゃんだけでなく、お母さんの異常が見つかった場合でも紹介されることもあります。
病院が遠くなる、産後のご飯が楽しみだった、という妊婦さんがいらっしゃいますが、お母さんと赤ちゃんの命が優先。そこはご理解ください。
それと、やはり箱の中に入っているものを箱を開けずに中身を100%把握するのは限界です。見逃され、産まれてきてわかることも稀にあります。なかなか難しい問題です。
最後に
エコーで先生たちが何を見ているのか、少しわかっていただけましたでしょうか。
エコー検査はあくまで異常の早期発見!
なので、「赤ちゃんの顔が映らなかった」というクレームはご了承ください。
位置によっては見えにくいのです。
Twitterとnoteで文才冴え渡る「きなこ」さんという女性が妊婦健診で赤ちゃんの「心臓」に異常が発見され、大学病院に紹介された話を公開されています。その↓のリンクを貼っておきます。すごくハラハラするし、もしかしたら怖いと思う方もいるかも知れないので、気になる方だけ読んでいただけたらです。
どうでもいいような、よくないような話ですが、この人のnoteは笑けるけど、めちゃ泣けます。

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