
もくじ
はじめに
緊急事態宣言からもうすぐ1ヶ月になります。
「人との接触を8割減らしてください」と言われ、自粛生活が始りました。私は基本的にあまり外に出ない生活でしたが、街中に買い物に行ったり、本屋に行ったり、図書館で本を借りて読むことができないのは相当辛いですが、しかたがないです。
ですが実際は外出を控えなさいと言われているのに観光地に出向いく人がいたり、休業要請を無視してナイトクラブの営業を続けた結果、クラスターが発生したり。また、感染拡大防止対策をしながら店を営業してるのにもかかわらず、嫌がらせをする「自粛警察」と呼ばれる人たちもいたり。
正直「人間の嫌な部分」が見えています。
そんな中、私はある本を思いだしました。私はその本を再び読み、そこに書かれている文章が共感できるなあ、と思ったのです。
今回はそんな本を紹介したいと思います。
他者と働く
「わかりあえなさ」から始める組織論
今回ご紹介したい本は、宇田川元一著『他者と働く「わかりあえなさ」から始める組織論』という本です。宇田川氏は経営学者ですが、この本では組織の中で起こる「なんであの人はわかってくれないんだ」ということにどうアプローチしていくか、その方法が書かれています。
本の「はじめに」の部分にこんな文章があります。
「知識として正しいことと、実践との間には大きな隔たりがある」
私はこの言葉が今の状況に一致しているな、と考えました。
知識として正しいこと、今ならば政府や専門家が訴えている「人との接触8割減」ではないでしょうか。
適応課題
宇田川氏は、ロナルド・ハイフェック氏が定義した「適応課題」という言葉を紹介しています。「適応課題」とは、既存の方法で一方的に解決ができない複雑で困難な問題、それが適応課題です。
本の中では、クラウドサービスを例に説明がなされています。
ある会社で各部署のデータを共有しないといけない場合、クラウドサービスを利用すれば解決できます。ですが、それを他の部署にクラウドサービスを導入にあたって会議で提案したら、「こういうリスクがあるから」と反対される、そのリスクは回避できるといくらロジカルに説明しても、何か別な理由をつけて反対される、そんな例が「適応課題」だと筆者が述べています。
ああもう、これめっちゃわかる。
って初めて読んだときに組織に嫌気がさしていた私は共感しました(笑)こうすればいいのになんでできないのかな〜っていうのは、だいたいが「適応課題」なんですよね。

対話
では、この適応課題をいかに解決するか、その方法として書かれていることが「対話」です。ここでいう「対話」とは、権限や立場と関係なく誰にでも、自分の中に相手を見出すこと、相手の中に自分を見出すことで、双方向にお互いを受け入れあっていくこと意味しています。私たちは、誰しもが「ナラティブ」を持っています。「ナラティブ」とは、立場・役割・専門性などによって生まれる「解釈の枠組み」であり、その人たちが置かれている環境における「一般常識」のようなものです。適応課題を解決するためには、自分のナラティブを一度脇に置き、相手のナラティブと自分との間に「溝」があることを見つけ、「溝に橋をかけていくこと」が対話である、と本では書かれています。
今回の緊急事態宣言では、自粛は経済に大打撃を与えました。そのため経済支援がとても大事です。フリーランスの私も困った事態となりましたが、開業した際に入会したフリーランス協会の方々がフリーランス の実情を政府に訴えるなど頑張ってくださったのでフリーランス に対する多くの支援策ができました。もちろん、政府もその人たちの話を聞いて動いてくれたことも事実です。ここでも「対話」が行われたからこそ、実現したのではないかとかんがえます。
行動の意味を考える
SNSやメディアでは、人の行動が注目され、批判される場面を多く見ますが、むしろ私は「なんでそんな行動をとるんだろう」と思うことの方が多いです。
ただ自分のナラティブ視点から批判しても、相手のナラティブが違うのだか真の意味で説得(理解)には繋がらないだろうな、この本を読んでからそんなことを考えるようになりました。
もちろん、相手側に立って自分のナラティブを置き去りにしてしまっては、課題の解決には繋がりません。
私とあなたが違う存在であるから、その人それぞれのアプローチ方法がある。
すごく当たり前のようで、難しいことであると、この本を読んで改めて感じました 笑
会社を良くしたい!だけではなく、家族・夫婦との関係を改善したい、そんな人たちにもおすすめしたい1冊です。
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